議会活動・活動報告バックナンバー

[2003年10月号]

■ヤミ金融取締りの強化を

 今日、治安対策というのが国民や県民の本当に大きな関心というか、心配している問題の一つであると思います。
 一昔前、世界一安全な国は「日本」であると、誰もが認めていました。しかし、近年、治安の悪化が著しく、その言葉が死語になりつつあるのではないでしょうか。
 私も県民の1人として治安に対する危機感を感じずにはいられない状況です。
 かつて大学時代、法律の一つである刑法の授業の時、「経済政策は刑事政策でもある」という趣旨ののことを学んだ記憶があります。景気が悪くなると倒産や失業が増え、その結果、犯罪とりわけ窃盗や強盗などの財産領得罪が増えることが、統計上各国でも証明されています。したがって、警察官の増員もさることながら、外国人犯罪は別として、やはり経済政策を転換し景気回復を優先することが、犯罪抑制の観点からも大切であると考えます。

 ところで、私が特に取り上げたいのは、悪質金融事犯いわゆるヤミ金融事犯です。
 ヤミ金融とは、無登録業者による貸し付け、法定利息を上回る高金利での貸し付け、実際には貸し付けていないのに債権者を装って返済を迫ること、を指します。
 本年8月に発表された警察庁の統計によりますと、今年上半期で、全国の警察が摘発したヤミ金融業者は469人、被害者数は約16万6千人、被害総額はなんと約173億7千万円にも上り、摘発された人数、被害者及び被害総額とも、警察庁が統計を取り始めた平成2年以降最も多かった昨年1年間の数値をすでに上回るという、正に危機的な状況にあると言えます。
 このようなヤミ金融を巡っては、現在の経済情勢等を反映して、違法な高金利の貸し付けや暴力団等による脅迫的な取り立て等により、当事者のみならず、その家族を含めた多くの関係者にまで、被害が拡大し、大きな社会問題となっております。

 本年6月、大阪府八尾市の老夫婦がヤミ金融業者からお金を借りてしまった結果、法定金利を大幅に越す利息の取り立てや嫌がらせが親戚にまで及び、「もうこれ以上迷惑はかけられない」と遺書を残し、老夫婦とその兄の3人が、電車に身を投じて自殺するという、非常に痛ましい事件がマスコミで大きく取り上げられました。
 我々県民としましては、このような悲惨な事件が、繰り返し起こることのないよう願ってやみません。国においては、深刻化するヤミ金融対策として、「貸金業の規制等に関する法律」及び「出資の受け入れ、預かり金及び金利の取締り等に関する法律」の一部を改正し、本年8月1日に公布、罰則を強化したところです。

 今後は、この関係法令による取り締まりを強化していただくと同時に、県警内に専門的に捜査する部署「ヤミ金対策室」を設置するなどして、県民が警察に寄せる期待に応えていただけると考えます。