議会活動・活動報告バックナンバー

[2003年11月号]

■森林環境税の導入を

 平成12年4月に施行された地方分権一括法により地方税法の改正が行われ、国の同意を必要とする法定外目的税の制度が創設されたことは、皆様もご承知のとおりです。
 法定外目的税とは、法律に掲げられていない税について、地方公共団体が新たに設けた使途が特定されている税のことです。地方自治体の独自課税導入の背景には、厳しい財政難、行政サービスの受益者負担、歳入と歳出の乖離などがあります。

 法定外目的税導入によるメリットは、幾つかあります。住民の受益と負担の関係を明確にすることにより、納税者に理解を求めやすいこと。産業廃棄物税のように隣接する地方自治体との協調関係が芽生えること。地方自治体の政策アピールの手段となること。自主課税権行使の機会拡大により、真の地方自治実現につながることなどです。
 これまでに、河口湖町遊漁税条例を皮切りに、三重県産業廃棄物条例、東京都宿泊税条例、高知県森林環境税条例など環境保全や産業廃棄物を主たる目的として、多数の地方自治体で施行されています。
 森林の保全・整備を目的とした新税制を35都道県が導入、又は検討を進めているといわれます。全国に先駆け高知県は今年4月、個人、法人の県民税に年間500円を上乗せ徴収する森林環境税を導入。県民税超過課税は普通税ですが、経理を区分することにより、実質的に目的税と同様の性格を持ちます。愛媛県は再来年度から導入決定、神奈川県知事も来年度中に議会へ提案を表明しています。
 方式としては、高知のように県民税均等割りの超過課税方式と、使用水量ごとに課税する従量制の二つがありますが、水源涵養を包含するより広い公益的機能を有すること、水道を使っている人だけが負担する方式より幅広く公平な負担であること、課税のためのコストが少なくてすむことを考えると、前者が望ましいと考えます。

 森林は、水源の涵養の外にも地球温暖化防止や保水、大気浄化、さらには川を通して海に養分を供給するなど多様な機能を有しており、人類の生存に欠くことのできない基盤です。また、本県では、今年50年ぶりに全国植樹歳が開催されたことにより、森林の重要性が県民にいっそう認識され、新税への理解も得られやすいと考えます。環境再生基金は良好な自然環境の保全再生を目的とし、森林環境税は森林の保全整備を目的としており、里山の保全など部分的に重なると考えられるので環境再生基金を補完する意義もあると思います。

 計算では、年間10億円前後の税収が見込まれます。県民の皆様のご理解をよろしくお願い申しあげます。