議会活動・活動報告バックナンバー

[2007年7月号]

マニフェスト作成支援を

 今議会に提出されている議案第7号「千葉県議会議員及び千葉県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公費負担に関する条例の一部を改正する条例の制定について」は、今年2月の公職選挙法の一部改正に伴い、知事選挙における選挙運動用ビラの作成費用を一定の範囲内で県が負担できることとなったため規定の整備を行うものですが、これは先の統一地方選から首長選に限ってマニフェストを、最大A4判の一枚紙を2種類まで配ることができるようになったことに伴うものです。28万枚、約160万円の公費負担が認められるそうです。

 マニフェストとは、公職の選挙に際して、政党や候補者が政策の数値目標や実施時期、財源などを明示した公約集をいいます。従来の抽象的な公約と異なり、達成度を検証でき、候補者側は達成状況を踏まえて次の選挙のマニフェストを作り、有権者側は達成度の評価をもとに次の選挙で審判を下す。これがマニフェスト・サイクルといわれるものです。

 2003年の統一地方選を前に当時の北川正恭三重県知事が提唱し、7名の知事と5名の市区長がマニフェストを掲げて当選。同年の公職選挙法改正で、通常の国政選挙でも配れるようになり、国政選挙では過去3度各党が掲げ定着しております。そして今度の法改正となったものです。

 候補者がマニフェストを示すことにより、有権者が政策の達成時期や数値目標を検証することが可能となり、県民の県政への参加を促し、県民が県政に対する理解を深めることにつながります。

 しかし問題もあります。マニフェストづくりは、「現職有利、新顔不利」になりがちだということです。現職が役所の情報や職員をフルに利用できるのに対して、新人は行政情報に十分アクセスできません。そのため同じ土俵に上がろうとしない新人も多いといわれます。
岐阜県多治見市の西寺雅也市長は、2003年の市長選でマニフェストをつくった際、新人には厳しいと実感され、全国に先駆けて新人のマニフェストづくりを行政が支援する試み、支援窓口の設置を2005年4月に導入しております。その後、同様の制度は、宮城県栗原市、愛知県犬山市、愛知県一宮市、東京都中野区などでも採用されています。

 最近、マニフェストを掲げて選挙に臨む政党や立候補者が増えています。立候補者が精度の高いマニフェストを作成するためには、行政からの情報提供が欠かせないといわれています。そのため、こうしたマニフェスト型選挙に対応するため、県が立候補予定者に県政情報を公平に提供し、マニフェストづくりを支援することは、県民の参加の推進と、県政に対する理解を深める上でとても大切です。先の多治見市長も、「マニフェストで政策を競い合う土壌をつくることが、結果的に市民のためにもなる」としています。また、公費負担も認められることになれば、マニフェストの内容のより一層の充実が求められます。

 そこで本県も、「マニフェスト作成の支援に関する要綱」をつくり、窓口を設置すべきと考えます。