議会活動・活動報告バックナンバー

[2008年6月号]

デートDVについて

 ドメスティック・バイオレンス、いわゆるDVは、夫婦など親密な男女間で繰り返し行われる暴力ですが、近年、十代や二十代の若年層の恋人の間にも急速に広がっております。最近、新聞やテレビなどのマスコミで取り上げられることも多く、若年層の恋人間の暴力は、「デートDV」と呼ばれています。

 親や友人など周囲が、恋人同士の「ただのけんか」と見過ごしているうちに、被害が深刻化することも少なくないと伺っています。

 今年の2月、NHKの番組で取り上げられたある調査によると、驚いたことに女性の五人に一人が被害にあっており、もっと驚いたのは、男性も十人に一人が被害にあっていることでした。女性が強くなったのか、男性が弱くなったのか、はたまた両方なのか、私には分かりませんが。

 携帯電話の普及により、「メールに返事がないと、突然怒鳴られた」、「行動を逐一報告しろと言われた」など、交際相手から一方的に嫌がらせを受けている若者が増えているとのことです。
相手に対する支配は、やがて暴力を伴うようになり、殴る、蹴るといった身体的暴力に及ぶことも多いようです。

また、「バカ」、「死ね」などの嫌な言葉を言われたり、あるいは、貸したお金を返してもらえない、避妊に協力してくれないといった、精神的、あるいは、経済的、性的な暴力的行為を受けている若者も少なくありません。

 デートDVは、夫婦間のDVに比べ、結婚や、日々の暮らしに縛られていない分、「嫌ならば別れればいいじゃないか」と安易に考えられがちですが、親密な人間関係の中で「愛情」を装い、暴力で相手を支配し、服従させる関係は、夫婦間のDVと変わりません。

繰り返し振るわれる暴力によって、被害者は正常な判断ができなくなり、「自分が悪いから相手を怒らせている」、「自分さえ我慢すれば、すべてうまくいく」と思い込み、親や友人にも相談していない被害者も多いと聞いております。

このような状況を改善し、若者を被害者にも、加害者にもしないためには、デートDVが犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であることを、若者一人ひとりによく理解してもらうため、県として広報・啓発を一層推進し、デートDVに対する社会的認識の徹底に取り組んでいくことが必要なのではないかと考えます。