議会活動・活動報告バックナンバー

[2009年11月号]

成田を国際拠点空港に

 10月12日の前原誠司国土交通大臣の発言、「首都圏空港を国内線と国際線に分離する原則を取り払い、羽田空港の24時間国際空港(ハブ)化を徐々に目指していきたい」は、県内に大きな衝撃を与えました。韓国の仁川空港は開港から8年で東アジアの国際ハブ空港としての地位を確立しつつあるといわれます。日本としても、今後の我が国の経済発展を考えたとき、国際線競争で負けられないということだと思います。

 翌日、森田知事も怒りをあらわにしましたが、14日大臣と会談した時には、満面の笑みを浮かべ握手していました。その豹変ぶりには、驚いた県民も多かったのではないでしょうか。知事は、安心したと言っているが、何に安心したのか、成田と羽田をすみ分けるというが、どうするのか説明がありません。森田氏が、衆議院議員時代、羽田の国際化を強く主張していたことも明るみとなり、氏に対する疑念の声も出ているといわれます。

 県民の皆様も御存じのように、成田空港の開港には、そして今に至るまで、長い闘争の歴史があります。何人もの死者も出ています。元もと、羽田に余裕がないから、国内線は羽田、国際線は成田という内際分離に原則のもと、成田に空港を造ったのに、余裕ができたから戻せというのでは、筋が通らない。だったら、最初から、羽田を拡張しておけばよかったのです。国土交通大臣が、いきなり、羽田を国際ハブ空港にする、と言われれば、地元住民、県民が怒るのももっともなことです。

 10月22日、2500メートルに延伸された成田空港のB滑走路を一番機が飛び立ちました。成田の年間発着回数も来年3月には現在よりも2万回増えて22万回になります。そこで、成田を利用して海外にという国内客のために、国内路線も整備していく。そして、国際線乗り継ぎ(トランジット)の客も取りこんでいき、文字どおり国際拠点空港、ハブ空港を目指していくべきであると考えます。

 他方、首都圏の航空需要は2030年に年間発着回数94万回になるとの試算があります。今、羽田では4本目の滑走路が建設中で、来年秋に完成すると発着回数が10万回増え40万回となりますが、成田の22万回を足しても62万回にとどまり、まだまだ足りなくなる予想です。そこで、地元の方々の合意を得ながら、成田の発着回数をさらに拡大して30万回に増やすことが重要となります。しかし、それには、空港用地の取得や騒音問題の対策等解決しなければならない課題が多くあります。

 成田空港は血に塗られた長い闘争を経て、ようやく国と住民が話し合いによる解決にたどり着いたという歴史があります。したがって、30万回へ向けての発着枠拡大については、土地所有者や騒音被害者等の方々の声にも十分耳を傾け理解と協力を得ながら、丁寧に事を進めて頂きたいと考えます。また、成田だけでは、急増する国際線需要を賄いきれないことは明らかです。午後11時から午前6時の深夜早朝は騒音のため離発着できないという制約もあります。そこで、成田を国際線の基幹空港としつつも、羽田を補完的に活用することも止むを得ないものとして対処していくべきであると解します。