議会活動・活動報告バックナンバー

[2010年7月号]

消費税を地方財源と福祉目的に

 この度の参議院選挙では、消費税の税率引き上げが大きな争点となりましたが、一部の少数政党を除き政権与党の民主党や野党第一党の自民党などがその必要性を訴えたため、これから、消費税増税論議が本格化すると考えます。菅総理が、消費税論議が選挙に不利になることを承知で、責任与党として提起したことは率直に評価したいと思います。

 しかし、子ども手当や農家への戸別所得補償制度などの巨額の財源を必要とする政策の見直しをしなくて、消費増税の論議をすべきではないと考えます。また、7月からは高速道路無料化の社会実験が始まっています。しかし、全国の高速道路を原則無料化すると、年1.8兆円もの料金収入が無くなり、その分国民の税負担となるともいわれます。やはり受益者負担を原則とすべきであると考えます。

 私は、国が巨額の借金を抱え財政危機に陥っている状況や、高齢化の進展によって社会福祉に一層の財源が必要になることを考えれば、消費税増税の論議は避けて通れないと考えます。官庁や官僚のムダを徹底的に無くし、効率的な行政を実現すると同時に、高過ぎる公務員の報酬を削減する(県の公務員の年間収入は諸手当を除いた真水で840万円、県民の平均年収は340万と500万円もの開きがあるとの調査もあります)。法人税減税や規制緩和等によって企業を活性化して雇用を増やすと同時に、累進性を強化して所得税や住民税を納めて頂く。2020年頃には消費税率を10%以上にしなければ、財政は立ち行かなくなります。景気動向も勘案しながら消費税引き上げをすべきであると考えます。

 その場合、二桁即ち10%以上の消費税をかける場合には、食料品や医薬品とそれ以外というように、複数税率を導入し、低所得者層への影響を最小限に食い止める必要があると考えます。併せて、消費税を地方財源とした上で、福祉目的税化し、地域の実情に合った福祉サービスを提供するための財源とすべきであると考えます。

 消費税は全て国の税金であるかのように誤解されている面もありますが、消費税5%のうち、4%は国の消費税、残りの1%は地方消費税であり、都道府県と市町村が折半する、過去の経緯を引き継いだ地方固有の財源です。しかし、小泉内閣時代の三位一体改革によって地方交付税が大幅に削減され、地方財政はどんどん窮地に追い込まれています。

 医療、福祉、教育など住民生活に不可欠な行政サービスを今後も安定的に提供するためには、地域による税源の偏りが少なく、税収が安定している地方消費税を引き上げる必要があります。地方財政の破綻を地方消費税の引き上げで食い止めるとすれば、その税率を現行の1%から少なくとも4%に引き上げる必要があると試算されています。

 県民の皆様には、地方財政の現状について御認識を深めて頂くとともに、少子高齢化社会において必要なサービスを提供するための安定した財源として、行政のムダを排除し経済を活性化することは当然の前提ですが、地方消費税の引き上げについて、御理解と御協力をお願い申し上げます。