議会活動・活動報告バックナンバー

[2012年1月号]

医科大学誘致促進議員連盟設置へ
 

人間としての生存が確保されて初めて人間らしい生活、豊かな生活もありうるわけで、その意味で医療体制の充実は最も大切であると考えます。どこでも、必要な時に、貧富の差なく、平等に医療が受けられる。そのような千葉県であってほしいと考えます。

 今、各地で地域医療の崩壊が起きています。この医療崩壊は、医師不足によるところが大きいといわれます。この現状を打開するには県内で働く医師を増やす必要があります。本県でも奨学金制度や医師キャリアアップ・就職支援センター等の整備を行っていますが、25年後の医療体制を見据えて、県内で働く医師確保にどのように取り組んでいくのかが、課題となります。

 また先頃、東京大学医科学研究所が衝撃的な試算結果を発表しています。様々なデータと予測により悪化率という形で都道府県別に初めてはじき出したものですが、25年後にある病気にかかった場合、きちんとした診察や治療が受けられる可能性が、現在(2010年)に比べて、どの程度悪化しているかを試算したものです。

 その際、数値を左右する重要な要素が医師の労働時間のわけですが、この労働時間が25年後には今より総じて短くなること。第一に現役医師が高齢化することで現在と同じ労働量を提供することが不可能になること。女性医師の割合が多くなることが予想され、出産や育児などで労働量が減ること。さらに、昨今の勤務医の権利意識の向上もあり、時間制限もなく労働を強制することはできない状況になりつつあることなどです。

 試算によると、1位は埼玉県で悪化率が197%、2位が千葉県で185%となっており、急速に東京のベッドタウンと化したが、医学部は千葉大学にしかなく医師数の大幅増員の見込みもないからとしております。人口100万人に1医大が必要だとする上昌広教授は、千葉県は、面積も広く、房総半島周辺と県中心部では医療環境が違いすぎる。今後も格差が、広がる一方でしょうと警告しています。

 悪化率3位は神奈川県で、この首都圏3県は、一極集中の余波で、少子化でも人口はさほど減らない代わりに高齢化が急速に進むことで、25年後の年間患者死亡数が大幅増となることも悪化率上昇の原因となっているとしています。

 では、処方箋はあるのか。一にも二にも医師数大幅増です。人気のある診療科が医師余剰になれば敬遠されがちだったきつい診療科を選択する人も自然と出てくる。その結果、全体として、医師不足も解消に向かうとしています。

 森田知事は2年半前の知事選で、マニフェストで医学部の誘致をうたっていたとのこと。また、野田市で開かれた公開討論会では、県立医科大学の創設について、賛成をしておりました。私は、9月議会の本会議で県立医科大学の必要性を訴えましたが、県議会でもようやく医学部が必要との認識が広まり、医科大学誘致促進議員連盟設置の動きが出てきました。議員数95名中超党派で81名の署名も集まり、来年3月議会中にも結成される予定です。県内にもう一校医学部を創る動きが加速するものと考えます。私は、裕福な家庭の子弟でなくても進学できる県立医科大学の創設が望ましいと考えますが、次善の策として他大学すなわち私立大学の医学部誘致もやむを得ないものと考えます。