訴状(海外視察費旅費の一部返還請求事件)

 千葉県内でも家庭が貧しくて修学旅行に参加できない子供達が多数いるというのに、千葉県議会議員は税金を使って豪華な大名旅行ならぬ大名視察。県民の8割近くが必要ないと考えているのに、議会では参加する自民党、立憲民主党、国民民主党だけでなく、公明党は参加しないが予算案に賛成しています。そして、行政目的をもって視察行っているため、海外視察を違法無効とすることはできません。
 しかしアンケートで多くの県民が反対し、おせられているので、何とか税金の無駄遣いを止めさせたいということで、議員のビジネスクラス航空賃が職員のエコノミークラスの約5倍ということを問題視し、憲法14条1項(法の下の平等)等に違反ということで差額を千葉県に返すよう求めることに致しました。 
 6月8日、千葉県監査委員事務局に住民監査請求を行いましたが、7月2日却下された旨の通知が来ました。結果に不服なので7月31日住民訴訟千葉地方裁判所に提起致しました。 

 

 本件海外行政視察に係るエコノミー航空運賃とビジネス航空運賃との差額分支出の違法性 

  1. 関連規定 

     千葉県議会議員の海外派遣の航空運賃については、千葉県議会議員の議員報酬等に関する条例に基づき、支給される。 
     同条例第5条1項によれば、支給される航空運賃の額は、別表第二記載のとおりとされており、同記載によると、「職員に支給すべき額に相当する額」と規定されている。そして、「職員の旅費に関する条例」によると、職員の海外旅行の旅費については、国家公務員の例によるものとされており、「国家公務員等の旅費に関する法律」によると、その34条において、航空賃の等級が「3つ以上の場合は最上級の運賃」、「2つの場合は上位の運賃」とされている。 
     本件では、航空賃の等級がビジネス航空運賃とエコノミー航空運賃の2等級であったから、派遣議員には、ビジネス航空運賃が支給された。一方、随行の職員には、エコノミー航空運賃が支給された。 

  2. 国家公務員等の旅費に関する法律34条の違憲性 

     同条は、その一号、二号において、当該公務員の地位・階級の相違により、支給航空運賃の額に差を設けている。このような差別は、憲法14条に違反する。
     そもそも憲法第14条は、法の下の平等権を保障しているが、その趣旨は、究極において個人の尊厳の確保にある。
     とすると、いかなる差別も許されないと解すべきとも思われる。 
     しかしながら、実際には、各人には資質、能力等に差があるから、これを無視してすべての者を常に画一的に平均化することは、かえって、個人の尊厳の確保という14条の趣旨に反する。 
     したがって、平等とは、種々の事実的、実質的差異を前提として、法の与える権利の面でも、法の課する義務の面でも、同一の事情と条件の下では、均等に取り扱うこと(相対的平等)を意味すると解する。換言すれば、恣意的差別は許されないが、個人の尊厳、民主主義理念に照らして合理的なものである限り、差別は許されるものと解する。
     次に問題は、合理性だけでは、判断基準として明確ではない。そこで、より具体的な基準が要請される。 
     これは、結局、人権の保護・救済を国会・内閣という民主政の過程に委ねるのか、それとも、民主政の過程によっては保護・救済されない少数者の権利・自由の確保を任務とする裁判所(憲法81条)に委ねるのかという役割分担の問題である。
     思うに、14条が、人種、信条等を列挙した理由が、沿革的に、それらの事由については不当な差別がおこなわれやすかったという事情にある。 
     したがって、それらの事由に基づく差別については、それら以外の事由による差別より、裁判所による救済の要請は強い。
     よって、違憲審査基準も、14条列挙事由による差別の場合には、やむにやまれざる利益達成のために、当該差別が必要不可欠か、否かにより、それ以外の事由による差別の場合には、合理性の基準によるべきである。 
     但し、後者の場合でも、差別の対象となっている人権が、重要な人権(民主政の根幹を成すもの、個人の尊厳に深くかかわるもの)については、裁判所による救済が強く要請されるから、厳格な基準によるべきである。 
     以上を本件についてみると、公務員の地位階級によって、支給されるべき航空運賃の額に差を設けることは、「社会的身分による差別」に該当するから、合理性の判断基準は厳格になされるべきである。 
     しかるに、公務員の地位階級によって航空運賃に差別を設けることには、やむにやまれざる利益達成という目的は存在しない。
     したがって、上記差別には、合理性がない。 
     よって、国家公務員等の旅費に関する法律34条は、憲法14条に反して違憲である。 

  3. その結果、同法によるとする「職員の旅費に関する条例」第30条も違憲の瑕疵を帯び、本件差額分支出行為も違憲違法となる。
  4. 本件支給行為の地方自治法第2条14項違反性 

     地方自治法第2条14項は、「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と定めている。
     そもそも国家の存在目的は、個人の尊厳・基本的人権の保障にあるところ(憲法13条、第3章)、そのためには、現実の担い手が必要であるが、それが公務員にほかならない(15条2項、99条、73条4号)。 
     したがって、公務員は、全国民の基本的人権の実現に奉仕するという使命を担っている。 
     そうであるなら、公務員は、究極には国民・住民の血税を源とする国家・地方自治体の有限である財源の無駄使いを控えて、国民・住民の福祉の推進を進めるべき立場にある。
     この理を明文化したのが、上記法条に他ならない。 
     しかるに、海外行政視察は、航空機のビジネスクラスを利用しなくてもエコノミークラスの使用で十分に事足りる。しかも、上記ビジネス航空運賃の額とエコノミー航空運賃の差が上記の通り、一人当たり金780,450円であるところ、それは上記エコノミー航空運賃の4.9倍、約5倍弱であり、宿泊費(5泊112,500円)を合わせても一人につき少なくともあと2人の議員の海外行政視察が可能であったといえる。全体では、何と51人の議員の派遣が可能であったことになる。これまさしく、エコノミー航空運賃の約5倍弱のビジネス航空運賃の支給行為が非常識極まりないことを物語るものである。 
     したがって、本件支給行為は、まさしく「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」との法文(地方自治法第2条14項)に反する。